祖父の形見として、震災の後片付け中に出てきたLYNX-1000。
レンズにはカビが見受けられ、ファインダーには虫の抜け殻。絞りリングは所定の位置を大きく越
えた場所まで回ってしまいました。幸いセレン光電池は生きているらしく、光量によってメータ指
針が変動しました。祖母からお許しを得て修理することとしました。
レンズ | Yashinon 45mm/F1.8 4群6枚 |
シャッター | COPAL-SV 速度:Bulb,1~1/1000秒 |
ピント調整 | 距離計連動式 |
露出調節 | 定点合致式 受光素子:セレン光電池 |
大きさ・重量 | 130(W)×81(H)×73(D)・750g |
まずは、絞りリングと絞り羽根の連動機構を確認するべく、前玉部分を外そうかと思った のですが、このレンズには俗に言う「かに目」がありません。 | |
試行錯誤の後、DIYショップで購入したゴム板を使用し、前玉のフレーム部分を回したら外 れました。前玉部分はユニット化されていてごっそり外れます。 | |
前玉ユニット(と、言うかどうかは定かではありません。)を外したら、次はシャッター速 度リングを外します。3本のネジを外すと簡単に取れます。 | |
前玉ユニットをはずした段階で、シャッター羽根が露出します。ネジなどの落下には十分 気をつけたほうがよいと思います。 | |
次に、シャッター速度と絞り情報を電気的に結び付けている黒色のリングを外します。 | |
黒色のリングを外すと、セルフタイマー側に電気ブラシ接点が現れます。詳細な調査は行 っていませんが、これは絞り情報用と思います。 | |
反対側にはシャッター速度情報用と思われる電気接点があります。 | |
いよいよ絞りリング部分に取り掛かります。この時点でよく観察してみると、絞りリング
からバーのようなものがカメラ筐体側へ伸びているのが見え、これが外れていました。どうやらこ
れが、絞り羽根を連動させる部品のようです。 では、絞りリングを固定している花形リングを外します。まず、花形リング脇のネジを半回転させ ます。 | |
かに目レンチを使って花形リングを緩めます。かに目レンチは最初の緩めるときにのみ使 用して、あとは指で緩めたほうがよいように思います。(余計な傷をつけずにできそうですし...) | |
花形リングを外すと、絞りリング部分がごっそり外れます。このとき、シャッター速度情 報用の電気接点がリングと干渉するので気をつけて外します。 | |
絞りリングから呼び出ている絞り羽根連動用の部品です。写真は修復後のものです。 | |
ある程度ペンチで「やんわり」と矯正し、瞬間接着剤で固定しました。 | |
シャッターユニットと鏡筒との隙間に絞り羽根を動かす受け部分が見えます。絞りリング を仮に取り付け動作を確認すると、問題なく絞り羽根が連動しました。とりあえずひと段落です。 |
せっかくここまで解体したので、シャッター機構も覗いてみることにしました。
シャッターユニット表面のプレートを慎重に外します。後でわかったことですが、シャッ ター速度はB(バルブ)位置にしておくと後でプレートを取り付ける際に楽と思います。 | |
はっきり言って、何がなんだか...(苦笑)。これを考えた技術屋さんはすごいです。見る 人が見れば、「なぁ~んだ」と言うかもしれませんが...。 | |
これがセルフタイマー機構部分のようです。 | |
これがシャッター速度調整機構部分のようです。スローガバナーも組み込まれているよう です。 |
とりあえず、絞り連動部分は修復できました。前玉等のカビは、無水エタノールとオキシドールを 使用してクリーニングしました。保存状態が悪かった割には、フィルターのおかげか幸い軽症で、 レンズ自体には気になるカビは見受けられませんでした。後は、ファインダー部分の虫の抜け殻を 取り除くだけです。